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【コラム4-1】業務実行管理の第一歩 スコープマネジメント

本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。

前シリーズではミドルマネジメントについてご紹介してきました。

【コラム3-12】ミドルマネージャーのあるべき姿とは

業務の遂行に欠かせないプロジェクトマネジメント。プロジェクト管理に関する世界有数の協会であるProject Management Institute(PMI) は、2030年までに2,500万人の新たなプロジェクト専門家が世界規模で必要になると予測しています。

新シリーズではプロジェクトマネジメントの手法を用いて業務実行の管理を行うノウハウや手法をご紹介していきます。

第1回は「スコープマネジメント」について。「何をするのか、何をしないのか」を事前に明らかにするスコープマネジメントはプロジェクトの起点となる重要な要素です。

 

スコープマネジメントとは

スコープマネジメントでは目標を達成するためにどんな作業が必要かを洗い出し、無駄をなくして確定できるプロセスを作ります。最終的に必要な成果物とタスクを全て確実に達成できる道筋を作ることがスコープマネジメントの目的です。

スコープによる作業範囲をベースに予算とスケジュールが決定するため、急な変更による影響にも対応しやすくなります。

 

スコープマネジメントするための手順とプロセス

まず5W1Hで「いつだれが何をどのように決めるのか?なにを確認するのか?」といった具体的な管理運用方法を検討します。

誰でも勝手にスコープを変更できるようでは混乱が起きるため、事前に運用ルールをチーム内で共通認識する必要があります。

次にステークホルダーからプロジェクトに対するニーズや要求事項についてもヒアリングし文書化します。

『誰が・いつ・なにを要望したか』と言ったような形でまとめ、さらに『定量的、定性的な優先順位をつけること』で実際にどの要望をスコープに入れるのかを明確に評価しておきましょう。定義したスコープについて意思決定者と会議をするときに役に立ちます。

次に行うのが、定義したスコープから作業内容を具体化するWBSの作成です。

WBSの作成ではプロジェクトに必要なタスクを要素分解しながら整理するため、ヌケモレや重複を防止できます。

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【コラム2-5】ビジネスのあらゆるシーンで活用できるフレームワーク、ロジックツリー

続いて、スコープの妥当性を確認し、スコープ通りに作業が進んでいるかを確認しコントロール段階へと進みます。

プロジェクトが進行するうちにスコープの範囲を逸脱しそうな場合は、是正処置案を作成し対応する必要があります。

最終的には、成果物が事前に定義されたスコープと合致していることを確認しましょう。

例えば製品の開発業務におけるスコープマネジメントを行っているとしましょう。

まず、開発チームは市場調査を行い、顧客ニーズと競合製品を分析し、製品のニーズやシーズを明確化します。次に機能要件、デザイン、品質基準を定義し、開発目標・計画を設定します。

進行中の変更依頼に対しては、影響分析とリスク評価を行い、スコープから逸脱しないよう抑制します。プロジェクト進行中はスコープの監視を行い、計画との整合性を確認し、必要に応じて調整を行います。

このように全体を通して製品が顧客要件を満たし、予算内で完成するようにスコープマネジメントを実施します。

プロジェクト管理における”What” にあたり、コストやスケジュールといった他のプロセス管理の前提条件となるスコープマネジメント。

スコープマネジメントではプロジェクトの範囲を明確化し、目標を達成するために不可欠な計画を策定します。プロジェクト進行中のコントロールはもちろん重要ですが、事前の前提条件をきちんと設定しておくことで変更やコミュニケーションのスムーズさに大きな違いが出てくるでしょう。

次回からは残りのプロジェクト管理の3大要素からコストやスケジュールに関する業務実行マネジメント手法をご紹介します。