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【コラム4-7】コミュニケーションのマネジメント

本コラムは、転換期を迎える現代のビジネスパーソンを対象に、「考える」をテーマにしたトピックを月ごとに提供しています。

今回のシリーズでは、プロジェクトマネジメントの手法を用いて業務実行の管理に焦点を当て、前回は資源マネジメントについて、特に実行段階における手法を紹介しました。

【コラム4-6】プロジェクト資源マネジメントのポイント

今回はコミュニケーションマネジメントにおける特に実行段階における組織内コミュニケーションの管理について紹介します。

実行段階におけるコミュニケーションマネジメントは、あらかじめ定義された目的や計画に従い会議などやメディア発信などを実施してステークホルダー間の情報の流れが効率的かつ効果的になるよう調整します。

言い換えると、対象にとって「どんな情報」が「どんな時期」に「どんな手段」で伝達されるべきかを管理し、実行していくのがコミュニケーションマネジメントの役割です。

コミュニケーションの基本、5Cをおさえる

「きちんと伝えたつもりが伝わっていなかった」ということが起きないために、必要なコミュニケーションの基本的なポイントは以下の通りです。これらは頭文字をとって「コミュニケーションの5C」と呼ばれます。

Correct 正しい文法と正しい記載
Concise 簡潔な表現
Clear 明確な目的の記載と明確な表現
Coherent 理論的な一貫性のある流れ
Control 言葉と話の流れのコントロール

当然といえば当然の内容ばかりではありますですが、「言わなくてもわかるだろう」や「相手もこう解釈しているだろう」といった無意識の偏見(=アンコンシャス・バイアス)を防ぐためにも常に意識しておきたいポイントです。

また、心理的安全性の低い職場はおのずとコミュニケーションが取りにくくなって問題を生みやすいため気を付けなくてはいけません。

参照)

【コラム3-2】これからのマネジメントに必須の「心理的安全性」とは

コミュニケーションする対象は組織内なのか組織外なのか、どの階層へのものなのか、またプロジェクトが大きくなり関係するステークホルダーが増えるほど情報伝達の作業が重要になっていきます。

ステークホルダーのマネジメントについて詳しくは先のコラムで述べるとして、コミュニケーションの管理においては優れた文章能力や会話能力はもちろん、傾聴力やモチベーションを向上させる力などさまざまなスキルが助けとなります。

参照)

【コラム3-12】ミドルマネージャーのあるべき姿とは

また、実行段階において特に重要となるのは「対立を解決するスキル」です。

チーム管理で重要なコンフリクトマネジメント

conflictは「紛争」という意味。メンバー同士や組織内での意見の違いを解決するコンフリクトマネジメントの手腕は業務リーダーに求められているスキルのひとつです。

対立が発生した場合は当事者だけでなくチーム全体の問題として捉え、解決に向けて取り組むのがコンフリクトマネジメント。放置すれば組織の生産力を低下させることに繋がり、できるだけ早い段階での対応が求められます。

まずは、そもそもの業務目的やスケジュールなど俯瞰して判断、調整する対応を行います。それでも解消できないコンフリクトに対しての対応には以下のような方法があります。

撤退や回避

対立から距離をとらせ、他者が解決したり解決の準備が整うまで問題を先送りにします。

鎮静や適応

意見の対立する部分ではなく、同意できる部分を強調して相手のニーズに対して立場を認めるようにします。

妥協や和解

すべての関係者がある程度は納得できる解決策を模索し、対立を一時的または部分的に解消するようにします。

強制や指示

相手を犠牲にして自分の観点を押し付けます。チームの士気やモチベーションが悪化する恐れがありますが、対立を早く解消できるために緊急事態には有効です。

協力や問題解決

異なる観点から複数の視点や洞察を持ち込んで対立の解消を目指します。最も理想的なコンフリクトマネジメントの形です。

組織の活性化にも繋がる対立の解消

そもそもコンフリクトマネジメントは「誰が正しいか間違っているか」という勝敗を決めるものではなく、異なる立場でもWIN-WINとなる関係を模索する取り組みです。

例えば技術的優位性を重視する開発部門と市場投入の速度を重視するマーケティング部門で意見が異なる時、コンフリクトマネジメントによって解決へ向けて話し合うことで新たなアイディアの創出や相互理解を深めるきっかけとなり得るでしょう。

不要なコンフリクトを減らし、また避けられないコンフリクトを解消し組織全体の活性化にも寄与するコミュニケーション。当たり前と思わず、ぜひ一度基本へ立ち戻っていただければ幸いです。

次回はステークホルダーマネジメントについてご紹介していきます。