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【コラム4-6】プロジェクト資源マネジメントのポイント

本コラムは、転換期を迎える現代のビジネスパーソンを対象に、「考える」をテーマにしたトピックを月ごとに提供しています。

今回のシリーズでは、プロジェクトマネジメントの手法を用いて業務実行の管理に焦点を当て、前回は品質マネジメントについて、特に実行段階における手法を紹介しました。

【コラム4-5】品質のマネジメントにおける実行プロセスとポイント

今回は資源マネジメントに焦点を当て、特に人的資源に関するプロジェクト実行段階のポイントについて紹介します。

プロジェクト資源マネジメントの目的は、プロジェクト成功のために必要な資源を特定・獲得・管理すること。物的資源はもちろん、人的資源においても、適切な時と場所でプロジェクトチームが利用できる必要があります。

実行プロセスにおける資源マネジメントでは、大きく「資源の獲得」「チームの育成」「管理とコントロール」の3つに分かれます。

資源の獲得

業務・プロジェクトの成功に必要な資源を特定し、それらを具体的に定義します。これには人員・設備・技術的なツールなどが含まれ、人的資源の場合は、必要な人員の確保やアサイン・役割決め・チーム編成を行います。

ここで、業務に必要な資源を外部から獲得する場合は後々のコラムで紹介する「プロジェクト調達マネジメント」の領域です。また、専門知識を有するメンバーなど業務立ち上げの段階で必要な資源は資源マネジメントの実行プロセスを待たずにあらかじめアサインされます。

資源の獲得におけるアウトプットは「物的資源の割り当て」や「業務・プロジェクトチームの任命」、資源が予定通りに集まらなかった時の「変更要求」などがあります。

必要とされる資源はそれぞれ複数の業務やプロジェクトで掛け持ちされている場合も多く、業務・プロジェクトに割けるリソースを表した「資源カレンダー」の運用も有用です。

資源カレンダーは、プロジェクトで必要となる資源(メンバー・機器・物質・施設など)ごとに、利用可能である時間枠を示したもの。人的資源においては「誰が、いつ、どの程度プロジェクトに参加できるのか」を明確にできます。

チームの育成

メンバーのスキルや連携によって最終的な業務の成否に大きく影響することから、資源マネジメントでは物的資源よりも人的資源に重点をおいて考えられます。

資源マネジメントの計画段階ではあらかじめ業務における各ポジションの責任や役割、権限などを整理しておき、メンバーが必要なスキルを持っていない場合は必要に応じてトレーニングが行われます。あらかじめ計画した通りに行うトレーニングのほか、実行段階での様子を加味して計画外のトレーニングも行うこともあります。

チームワークの強化については、組織のありかたをアサイン〜解散までの各段階で考える「タックマンモデル」が活用できます。チーム形成のステップをあらかじめ把握しつつ、現在どの段階にあるかを判断して改善に取り組むことができます。

  1. Forming(形成期):業務・プロジェクトの目的を発表・メンバーはまだよそよそしく、役割と責任について学ぶ段階
  2. Storming(混乱期):異なる意見によって混乱や対立が起こる段階
  3. Norming(安定期):メンバー間に信頼関係が築かれていく段階
  4. Performing(遂行期):相互に依存関係を保ち、生産性が高く、課題に効果的に対処できる段階
  5. Adjourning(解散期):業務・プロジェクトが完了し、解散する段階

例えば、形成期においてリーダーはチームのビジョン・ミッションを共有して目指すべき目標を提示します。メンバー同士はまだお互いのことがよく分からない状態なので、情報を共有し、コミュニケーションを多く取ることを重視しましょう。

管理とコントロール

プロジェクトの資源が適切に使用されているかどうかを確認し、必要に応じてコスト計画等も加味しながら追加の発注なども検討します。

チームは複数人から成り立っており、特にタックマンモデルにおける混乱期では意見の対立などが発生する可能性があります。対立が起きた場合でも、それを個人間の問題ではなくチーム全体の問題として捉え、解決策を検討します。

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業務・プロジェクトの資源は、物的なものだけでなく人的なものも重要であり、その管理は働く時間数だけでなくスキルやチームビルディングにもおよびます。

いかに成果を出せたとしても、メンバーに負担がかかり過ぎて業務完了後に離職してしまうようでは本末転倒。適切なコミュニケーションや負荷の適正化もまた重要な要素です。

次回は、プロジェクトマネジメントの仕事の9割を占めると言われているコミュニケーション・マネジメントに焦点を当て、その重要性や具体的な手法についてお伝えします。

1件のコメント

  1. ピンバック:コミュニケーションのマネジメント – シンキングパートナーズ合同会社

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