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【コラム(10)】対話を通じてイノベーティブな組織をつくるには

本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。

前回は内的動機付けにとって重要な「選択理論」についてご紹介しました。

【コラム(9)】内的な動機付けをもたらすのは?

 

今回は組織内で選択理論を実践する上でのコミュニケーション手法のひとつ「ダイアローグ・マネジメント」についてご紹介していきます。

ダイアローグ・マネジメントとは?

対話(ダイアローグ)を手段とし、組織の成長促進をはかる手法。ダイアローグは、創造的な問題解決方法を用いることによって組織内の相互理解を深め、さらにそのプロセスにより組織全体の成熟度を高め、より飛躍する組織へと成長させることが可能です。

心理学者のケネス・J・ガーゲンは、その著書「ダイアローグ・マネジメント 対話が生み出す強い組織」で次のように述べています。

”対話のプロセスは新しいアイデアを刺激し発展させるための重要なカギだ。対話に本来備わっている力を利用できるなら、クリエィティビティは無限で、イノベーションが実現するだろう”

組織運営で発生する意思疎通の問題

デジタルツールの充実やオンライン通信の活用促進、特に新型コロナウイルス感染拡大の中でテレワークが普及し、コミュケーションの方法は多様化しています。しかし、それらが組織内の意思疎通のための十分な役割を果たしているとは言えません。

実際には受け手へは伝えたいことが伝わっていなかったり、頭では理解したつもりでも腑に落ちない…といったコミュニケーションの物足りなさを感じることも、めずらしいことではありません。 情報伝達ツールを最適化しても、従来のコミュニケーションの方法だけではこの物足りなさは解消されません。

では、どうしたら意思をきちんと伝えることができるのか、相手の意図をくむことができるのか…ニューノーマルの時代に求められるコミュニケーション、それがダイアローグ(対話)の活用です。

ダイアローグを進めることで期待できること

コミュニケーションのあり方の見直し

「ダイアローグ(対話)」は、「会話」や「ディスカッション」とは異なります。

「会話」は、互いに話をしたり聞いたりする情報交換であり、「ディスカッション」は、意見を出し合い、最終的な意思決定・合意を目的とします。

一方、「ダイアローグ(対話)」は会話の一種ですが、その先にあるもっと進んだ言葉のやりとりを指し、ディスカッションのように何かを決めることを目的としません。ですから、たとえお互いの意見に相違があったとしても、双方が考え方を理解し合い、受け止め、対話を続けます。

決定することを目的としない会話に何の意味があるのかと思う方もいるでしょう。対話を続けることは、コミュニケーションの障壁・阻害要因を解消する機会。まず対話を通じて各人の意識や物事に対する理解度が高まり、その結果、組織内での情報共有を同じレベルで行うことができます。高い解像度での思考がチーム全体に行き渡ることが組織を成長させる原動力となるのです。

ダイアローグは真摯さ(インテグリティ)をもって互いの考えを深めあい、どこまでも探求し続け、そのプロセスによって組織のイノベーションを図る創造的なコミュニケーションの形と言えます。

相互理解を深める力

ダイアローグに求められるのは、話す力と聴く力です。話す力(伝える力)とは、語彙力や表現方法、簡潔にまとめるための資料づくりのノウハウだけではありません。状況や立場に臆することなく、小さなことでも自分の意見や価値観を伝えることも、ダイアローグを進めるために必要な話す力のひとつです。

また、聞き手にも聴く力が求められます。話し手が伝えたいことは何か、その本質を理解し、さらに疑問に感じたことを伝え、より深く他者を理解しようとすることにより、相互理解が深まるのです。

この両者の力が成熟されるほどに、ダイアローグは前進します。「もっとほかの選択肢や視点はないのか」といった意見はもちろん、「評価基準」や「テーマ設定」など根本的なものに疑問をもち、一歩踏み込んだコミュニケーションが可能になります。

「相手の意見の本質」を理解することで様々な視点から深く意見交換され、相互理解を持って着地点を見出したり、さらなるテーマへと発展させていくことがダイアローグから期待できます。

実施のポイント

役職や経験値、意見が異なっていても、ダイアローグの実施において個人の立場は平等であり、かつ仲間意識を持つことが望まれます。仲間意識をもつことで、発言がしやすくなり、遠慮のない意見が生まれ、それに対し反対意見が生まれ、質問が生まれ…と多方向から対話が連なり探求が進んでいきます。

当事者であることを認識し、主体性をもってダイアローグに臨めば、自然と発言の場は増え活発な対話となるでしょう。

ダイアローグの目的は相互理解の探求ですから、出された意見に優劣をつけたり、集約したりする必要はありません。

イノベーティブな組織への成熟を

ダイアローグの浸透によって、あなたの組織を従来のような命令に従うのみの機械的組織ではなく、イノベーティブな有機的組織へと成熟させていきましょう。

しかし、いざ実践してみると思ったようにうまくいかないケースが出てきます。これにはさまざまな要因がありますが、次回はそのうちの1つである、人が誰しも陥りうる “思考の落とし穴” について事例を交えてご紹介します。

1件のコメント

  1. ピンバック:【コラム(11)】思考に潜む認知バイアス – シンキングパートナーズ合同会社

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