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【コラム2-3】クリティカル・シンキングで本質を見極める思考を手に入れよう

本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。

前回はロジカルシンキングの基本である演繹法と帰納法についてご紹介しました。

【コラム2-2】演繹法・帰納法 論理的に答えを導く2つの手法

 

ロジカルシンキングのデメリットを補い、さらに新しい視点の考え方が生まれやすくなるクリティカルシンキング。今回はそんなクリティカルシンキングについてご紹介します。

ここで改めてクリティカルシンキングとは、 “その考えが本当に正しいのか?” と本質を見極めて物事を判断しようする思考法でした。

物事に対して「なぜなのか」「どうしてなのか」「本当に正しいのか」といった、妥当性を含めて物事の本質を見極める問いを持ち続けることで、より物事の本質へ迫り実現的な考察へと近づけていくことができるのです。

クリティカル・シンキングを可能にする3つの要素

クリティカルに考えるためには、【目的】【認知バイアス回避】【問い続ける】という3つが大切です。目的を持って考えることや認知バイアスについてはこれまでのコラムでもご紹介してきました。

 

【コラム(2)】〇〇のない「考える」行為は無意味だ

 

【コラム(11)】思考に潜む認知バイアス

 

今回のコラムでは、最後の【問い続ける】について、手法と事例をご紹介していきます。

 

「 So what?」「Why so?」の問いかけ

ある人が今、SDGs起点の新規事業アイディアの提案を求められいてるとしましょう。数あるゴールの中で「世界の貧困問題」について提案を行おうかと検討しています。

<SDGsゴール1 貧困をなくそう>
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/1-poverty/

例えば、子どもの貧困の度合いが子どもの成績とも関係がありそうだ、というデータがあったとします。

ここで「So what?(だから何?)」「Why so?(なぜそう言えるのか?)」と自分に問いかけてみましょう。

子どもの貧困 (Why so?)なぜなら、家庭が貧困だから (So what?)だから、教育費が捻出できない (So what?)だから、教育を受けられない (So what?)だから、成績が伸びない ゆえに「子どもの貧困と成績には相関がある」と仮説を立てることができます。

事実やデータだけ述べるのでは「それで?」と議論が進みません。So what?は今持っている情報から、新しい結論や推論を引き出す際に使える問いかけです。またWhy so?  があることで、新たな根拠となる事実やデータが見つけることができます。

実際にはさらなる分析や仮説立案、検証などステップがありますが、根底にこういった問い続ける姿勢があるからこそ、情報が活用できるようになります。

さらなる問いかけ

しかし、So what? とWhy so? だけでは議論が堂々巡りになってしまう恐れがあります。その際に有用なのがTrue?(本当に)やAnything else? (他には?)といったさらなる問いかけです。

子どもの貧困と成績の問題に対してTrue?という問いを投げかけてみれば、「子どもの成績の不調の原因は貧困ではなく親の不在である」という別の要素が出てくるかもしれません。

また「貧困と教育の問題は子どもだけだろうか? 大人は?」「貧困と教育の問題は開発途上国だけの話だろうか? 先進国では?」というようにAnything else? の問いかけをすることによって、教育の構造による貧困の連鎖や相対的貧困といった要素が出てくるでしょう。

ここでも「考える目的はなんだったか?」「認知バイアスが潜んでいないか?」という基本姿勢を忘れないようにしてください。

ロジカル×クリティカルの組み合わせと使い分け

ロジカルシンキングだけでは「前提条件を疑う」ことはないため、本来なら変更可能な前提条件や、無意識の制限・思い込み等が影響されてしまうことを気づけません。

一方で、クリティカルシンキングだけでは、物事を論理的で明解に組み立てていくことは難しく、具体的な行動まで導き出すにはロジカルシンキングが必要です。

次回からはロジックツリーやMECEといった、検証や思考を深めるのに有効な手法をご紹介していきます。