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【コラム4-4】業務遂行におけるコストマネジメント

本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。

今シリーズではプロジェクトマネジメントの手法を用いて業務実行の管理を行うノウハウや手法をご紹介しています。

前回はスケジュールマネジメントについて、特に実行段階におけるタスク管理について述べました。

【コラム4-3】業務実行を支えるタスク管理

今回はコストマネジメントについて。納期と同じく重要であり、制約もある予算について業務実行におけるポイントをご紹介していきます。

時間軸をもとにプロジェクト予算を管理する

コストにおいても、スケジュールと同じくマネジメント計画を立て、適切な見積もりと予算設定を行うという事前の流れは同様です。

ここで設定されるのが「コストベースライン」で、時間軸ベースで配分されるプロジェクト予算を表します。具体的にはスコープマネジメントで規定されたWBSをもとに時間を横軸として作成されます。コストは中盤に大きくかかることから、一般的にコストベースラインはS字カーブを描きます。

なお、コストベースラインは不測の事態に備える「コンティジェンシー予備費」を含みますが、時間軸ベースで管理できない「マネジメント予備費」は含みません。

プロジェクトが実行段階となるとコストマネジメントは「コントロール」の段階に入ります。この時、コストベースラインがあることで予算に対する実績のコストがいかほどか、予定と異なっている場合はどれくらい逸脱しているかを把握できます。

コストマネジメントにおいては、計画段階で管理対象となるリソースやコストの組織単位と管理システムのコードを紐づけ、実行段階では少なくとも月1回は管理システムから得たコストの実績データから分析を行うことが推奨されています。

分析をもとに予算の見直しや優先順位に基づいたコスト削減、代替品の使用などさまざまなコストコントロールが必要となります。

また、コストベースラインを定期的に確認することで予算見直しにいち早く取り組むことができます。

例えば「全体の50%が過ぎたところで作業進捗は40%、コストはすでに予算の60%を消化している」ということがわかると、残りの期間で予備予算を使うのか、追加予算を上長に交渉するのか、などの検討を現段階から始められます。

仮にコストが当初の計画通りであったとしても、スケジュールが遅れていると納期に関わるだけでなく作業進捗を取り戻すための追加人件費や外注費などコスト面へも影響を受けることになります。コストマネジメントはスケジュールはじめ他の管理項目との影響も鑑みながらコントロールを進めていく必要があります。

業務の実行段階となると、予期せぬ事態やステークホルダーから追加要望をリクエストされるなど予算超過の危機はいつでも訪れる可能性があります。コストベースラインの活用は予算変更の要求やリクエストへの対応可否など交渉においても有効な指標です。

なお、スコープ・スケジュール・コストそれぞれのベースラインを統合したものを「パフォーマンス測定ベースライン」と呼び、プロジェクトの三大管理要素である品質・コスト・スケジュールそれぞれのベースラインを総称したものは「プロジェクトベースライン」と呼ばれ、業務実行管理においても重要な管理要素となります。

次回はスケジュールマネジメント、コストマネジメントに続いて重要なプロジェクトマネジメント項目である「品質マネジメント」についてご紹介していきます。